一軸延伸加工500℃

一軸延伸加工で新しい機能性を創出

一軸延伸加工

 
フィルム一軸延伸加工

 

最高温度500℃
最大幅1700㎜
最大延伸7倍

一軸延伸加工とは

プラスチックフィルムやシート(合成樹脂)を加熱しながら一方向(縦方向)に引き伸ばす加工技術です。
強度・透明性・弾性率(Elastic Modulus)・配光特性などが向上します。
分子配向による弾性率の上昇が、一軸延伸の最大の特徴の一つです。
最高500℃の加熱・最大7倍の延伸・幅1700mmまでの連続加工に対応しています。

加工の仕組み

成形されたフィルムはロールtoロール方式で供給され、以下の工程を経て延伸されます。

  1. 予熱(Preheat):加熱ロールによって素材を最適な延伸温度まで昇温
    ガラス転移温度(Tg)またはビカット軟化点のすぐ上に設定

  2. 延伸(Stretch):ドローロールの速度差によって縦方向に引き延ばし

  3. アニール(Annealing):応力を緩和し、寸法安定性を確保(オプション)

  4. 冷却(Cooling):一連の冷却ロールで安定化

これらのセクションはMSR独自の熱系列設計により最適化されています。

加工の特長

  • 高温対応:最大500℃までの温度制御

  • 高精度制御:ロールで確実にグリップしながら延伸するため、ダレ・ゲージムラを抑制

  • ワイドレンジ試験:最小1mから試験可能

  • 安定したテンション管理:独自の制御技術により、最小10Nの張力でワークを安定搬送

  • 機械特性の向上:分子配向により弾性率が上がり、機械的強度・寸法安定性が大幅に向上

目的と効果

  • 分子配向による機械的強度・弾性率の向上

  • 光学特性・配光制御の改善

  • ガスバリア性・耐熱性の向上

  • 後工程でのラミネートやコーティング安定性の向上

  • フィルムの収縮や変形を低減

加熱ロールでコンタクト 
スピード変化させて延伸加工

 
ロール加熱温度は最高約500℃。
最大幅1700mm 長さ1mからの試験が可能です。
 
材料をロールにしっかりとグリップ(固定)しながらのDRAWしますのでダレやゲージが無く非常に綺麗な状態が保てます。

一軸延伸加工受託

一軸延伸加工受託

新規材料や特殊用途フィルムの試験にも柔軟に対応しています。
各種ポリイミド、PET、PEEK、PTFE、金属箔積層体などの延伸試験もご相談ください。
まずはお気軽にお試しください。
MSRの一軸延伸技術が、あなたの素材に新たな価値を生み出します。

一軸延伸加工2

設備仕様

項目

内容

最高温度

500℃

最大幅

1700mm

最大延伸倍率

7倍

張力制御

最小10N

試験長さ

1mから対応

弾性率が上がる理由を調べてみました

一軸延伸では、加熱下でフィルムを一方向に引き伸ばすことで、分子鎖が延伸方向に整列します。
その結果、応力が効率的に伝わるようになり、弾性率(Elastic Modulus)が上昇します。分子鎖の再配列や結晶化の進行により、引張強度、耐クリープ性、寸法安定性なども改善されます。


加工条件と最適化

弾性率の向上度合いは、材料の種類(PET、PI、PEEK、OPPなど)、延伸倍率、加熱温度(Tg直上~ビカット付近)、およびアニール条件によって変化します。
MSRでは、材料ごとに最適な温度・張力・速度プロファイルをチューニングし、目的特性に合わせた加工条件を設計しています。
 
 

用途とメリット

一軸延伸によって得られる高弾性率フィルムは、
光学フィルム、フレキシブル基板、二次電池セパレータ、包装材など、
高強度・高寸法安定性が求められる用途に最適です。
主なメリットは以下の通りです:

  • 弾性率・引張強度・寸法安定性の向上

  • 耐伸び・耐クリープ性の改善

  • 後工程(ラミネート・コーティング・成形)での安定性向上

🔹弾性率が上がることで得られる主な効果

一軸延伸によって弾性率が上昇すると、フィルムやシートは「変形しにくく、寸法が安定した材料」になります。これにより以下のような機能的メリットが得られます。
 
📏寸法安定性の向上
熱や力を受けても伸び縮みしにくく、形状が安定します。
→ フレキシブル基板や光学フィルムなど、寸法精度が求められる用途に最適。
 
🛡機械的強度の向上
延伸方向への引張強度が増し、たわみや破れが大幅に抑えられます。
→ 薄膜でも強度を確保できるため、軽量化や薄型化が可能。
 
クリープ(長時間変形)の抑制
荷重を長時間受けても変形が進みにくく、形状保持性が高まります。
→ テンションを保持したまま使用するロール to ロール製品や電子材料に有利。
 
🔥耐熱性・熱収縮の抑制
分子配向により熱膨張が一定方向に制御され、加熱時の収縮や歪みが減少します。
→ 蒸着、ラミネート、コーティングなど高温プロセスに適した材料設計が可能。
 
🎧振動・音響特性の向上(応用例)
剛性が高まることで共振特性が変化し、薄膜スピーカーやセンサー基材としての応用も期待できます。
 
 
🧪このように、弾性率の上昇は単なる“硬くなる”という変化ではなく、
狙った方向だけ特性を向上できるため、機能性フィルム・エンジニアリング材料の開発に適しています。
「強く、安定し、加工適性が高い素材」への進化を意味します。